許してほしいなら読んでね
この手紙を読んでるって事は、あなたは無事に外で暮らせているのね。
いいなあ。
私も、アルミナ製の体に生まれたかった。
ちなみに言っておくけど、何も言わずに私を置いて行った事、まだ恨んでるのよ。
だって、聞いてよ。
シェルターの中は、とっても寒いわ。
エアコンまで頭がおかしくなったみたいで。
これじゃ、余計に外の世界がめちゃくちゃに…。
そうなっても私には関係ないかしら?
ふと、考える時があるの。
もしもシェルターが壊れてしまったら、死んでしまう。
どのくらい苦しむのかしら?
できれば一瞬で終わってほしいな。
こんな暮らしをしていたら、生きているのが馬鹿らしくなる。
というか、馬鹿だわ。
退屈で干からびてしまいそう。
朝食のデニチックは、やっぱり美味しくない。
一日十二時間、ネジを回すだけの仕事…ノイローゼになりそう。
下級生物って罵られているような気分。
夜にはカビ臭い毛布で、凍えないようにお腹を守りながら、必死に、あなたの歌声を思い出しながら眠りにつくの。
ねえ。
私はまだ、あなたを恨んでいる。
だけど、あなたが私に「愛してる」と言ったのは嘘じゃないって信じてる。
黙っていなくなった事を少しでも申し訳ないと思うなら、
私を助けて。
P.S.
ご存知でしょうけど、あのロボット探偵チームが、あなたを探しているわよ。どうか、うまくやってちょうだい。
ゴメンネ