俺が悪いの?
※今回は猟奇的な表現があります。ご注意ください。
…。
……。
俺はただ、興味があった、だけなのに。
「失ってから
本当に大切な人だったと知る」
なんて、近頃よく聞く定番フレーズ。
俺はイヤホンで流行りの歌謡曲を遮断し、パソコンを開き、ゲームの中で何を着るか迷いながら、そのメロディや歌詞が耳につくものだという事に腹を立てていた。
コーヒーが飲めない癖に喫茶店が好きな俺は、いつも、クリームソーダを飲んだりしながら、ぼーっと過ごすのだった。
店員が何か言ってるけど、聞こえないので適当に頷き、画面の中の旅に出た。
立ちはだかる邪魔な人たちを次々と射殺し、目的の宝が隠されているであろう場所へ。
こんなの現実だったら犯罪だよな…(笑)
よく考える事がある。
ゲームの中も実は存在する世界で、俺というヒーローが来るまでは、敵キャラ達も、家族と食卓を囲んだり、恋人と将来の夢について語り合ったり、愛犬への誕生日プレゼントに悩んで夜が更けたり、
普通に幸せに過ごしてたのを、俺が暇つぶしで奪ってるんじゃないか?
俺はゲームの中の住人を、殴ってみたり、爆弾ぶん投げてみたり、時には逃してみたり、まあ色々試して遊んできた。
それでも当たり前のように復活してやがる。
記憶を消されて、甦り、また殺される、そんな運命。
そう考えると、命乞いする姿や、必死に這って逃げる姿も、見てみたくなる。
別に俺は、同情したいわけじゃなかった。
興味があるだけだった。
ピコン。
メッセージ通知。
俺にとって、たった一人の友達は、ゲームの中で知り合った『サメ男』という、引きこもり野郎。
こいつからのチャットで一旦ゲームを中断し、顔を上げた。
「おう。待たせたな」
目の前にいる、小さいのに丸々と太った、ボールみたいな奴。
「おう。調子はどうだ?マンボウ男さん」
いつも通り茶化すと、いつも通り嬉しそうに「サメだよ」と笑う、サメ男。
例にもよって、引きこもりってのは毎回同じような服装で来やがる。
20年くらい前に流行ってたバンドTシャツが伸びて、絵まで太って見えるのが可笑しかった。
サメ男は、毛が生えたクリームパンみたいな手で、レアカードをテーブルに置き「ほら例のブツだぜ」とニヤついた。
俺も、交換したいレアカードを置いて、闇の取引完了だぜと二人ふざけて笑った。
あー。
何も変わらない日常。
そんな俺を見透かしたように、奴は、いつも言った。
「お前って、いつもどこか寂しそうだよな」
あと、
「イケメンなんだから彼女くらい作れよ」
はは。
俺別に、イケメンじゃねーよ。
自分が不細工だから、みんなイケメンに見えるんだろ、お前は。
なんて意地悪な事を考えながらも、冗談かましてみた。
「あー実はさ、俺お前の母ちゃんに惚れてんだよね」
「はぁ?やめてくれよー!」
「いやぁ、たまんないぜ。お前が母ちゃんにもらった二万円、一日でパチ代に消えた時の怒号に胸キュンしたね」
そう言うと、こいつはまた馬鹿みたいに手を叩きながら笑った。
あの夜、俺達は電話でダラダラと、大金持ちになったら何するかって話をしてた。
サメ男は、ソープ行くだの、芸能人の下着を買うだの、アホな事ばかり言ってたけど。
俺は、イマイチ思い付かなかった。
その時いきなり、サメ男の母ちゃんが部屋に入ってきて、あの二万円どうしたって話が聞こえてきて。
散々怒鳴りあって、母ちゃんが部屋から出て行った後、サメ男は「うぜぇ!死ね!クソババア」と悪態をついて、寝た。
だけど俺には希望があった。
もしかしたら、こいつの心にも家族愛とやらが、あるんじゃないかとね。
だから、こいつの部屋に遊びに来た。
手足を縛って、目の前で、母ちゃんの片目を抉り取った。
それを母ちゃんに見せてやり「自分と目が合った気分はどう?」と尋ねてみたら、ガタガタ震えながら「マサカズ…マサカズ…」と呟いてた。
サメ男に向き合い、話しかけた。
「へぇ、お前の本名マサカズ君っていうんだ」
サメ男は青ざめた顔で、なぜか必死に、何度も頷いていた。
それが面白くて、笑いが止まらなかった。
次に、母ちゃんの鼻をナイフで削いでみた。
それを母ちゃんの額に乗せ「みて!マサカズ君、お母さん福笑いになっちゃったよ」とギャグを言ったけど、滑っちゃった。
サメ男は、ただ震えながら涙を流し、息を荒げていた。
それから俺は、母ちゃんの服を脱がし、下着も剥いで、裸にして、乳首を切り落とし、キッチンの炊飯器から米を持ってきて、寿司にしてみた。
「見て見て!
マサカズ君、お寿司、好きだったよな?
俺初めて寿司なんか握ったぜ!」
口に運んでやると、顔をブンブン振って拒否された。
腹立った。
「お前…友達が握った寿司が食えないってのかよ!流石に酷くねーかぁ?」
そう怒鳴りつけながら、腹を蹴ってみた。
ぼよよーん。
やっぱ、デブだな、こいつ(笑)
サメ男は、ぐべぇ!と辺な声を出して、大人しくなってくれた。
寿司を口に運んだら、すぐに口から出して、また泣いちゃった。
ああ、愉快。
それから次は、ヘソの中がどうなってるのか気になったから、母ちゃんのヘソを、ナイフで縦に広げてみた。
意外と皮膚が厚くて、白い脂肪層が、ブニュブニュ出てきて、そこから脈打ちながら血が出てきた。
脂身かな?
それを切り取って、キッチンに行き、フライパンに塗って、目玉焼きを焼いてみた。
…。
意外と癖がないけど、ちょい血生臭いかもな。
あはははははは はははははは ははは!
楽しくて、楽しくて。
俺の遊びは止まらなかった。
バッドを母ちゃんの膣に挿入して思いっきり蹴ったら、すげぇ苦しそうな顔をした。
「あれ?おばさん、こんな巨大デブ産んだんだから、平気なんじゃないの?」
なあ?とサメ男を見たら、さっきとは違い、魂が抜けたみたいに呆然としてた。
つまんないから、ちゃんと見てろ!と叱り、殴ってあげたら、また目が覚めたみたいに怯え出した。
なので、今度は「手術しまーす」と、腹を思いっきり裂いた。
力が要る。
少しずつ、ザクザク開けた。
血が飛び出して、派手な情景に感動した。
初めて見る人間の内臓は、犬や猫とは全然、比べ物にならないくらい大きかった。
テカテカ光ってて、脂っぽいかんじがした。
あっ。
母ちゃんが、動かなくなった。
死んだようだ。
サメ男の髪を掴んで、目を見た。
「マサカズ君、良かったね!クソババア本当に死んだよ!褒めてくれる?」
すると、サメ男は、青白い顔を、シワクチャにして、小さい目を二倍にかっ開いて、お面みたいになって、言った。
「殺さないでください」
?
なんだよ。
母ちゃんの大事さより、自分の命か。
ガッカリだよ、サメ男。
ねえ、おまわりさん。
逮捕するなら、サメ男も逮捕してくださいよ。
こいつは自分の母親が目の前で拷問されて死んでも、自分の命を優先したんです。
思えば一緒にゲームしてて俺が死んでも、ザマアミロ!とか馬鹿にしてきました。
でも、こいつ、自分が死んだ時めちゃくちゃ怒るんです、あり得ないでしょ?
え?
…。
……。
………は?
俺が悪いの?
後書き
ここまで読んでくれて、ありがとうございます。
僕は疑問に思うんです。
他人を優先してやる事が「愛」だなんて間違っていると。
だけど、優先する事を押し付け、それが受け入れられないと「愛されてないんだ」と落胆する人って、いるでしょう?
そもそも他人を頼りに生きてる時点で、ダメです。
自分を守れてこそ、他人を守れるのです。
まずは自分が、しっかりしないと、いつまで経っても赤ちゃんです。
まあ、自分の世話だけでも大変ですよね。
だから人は孤独なのかな?
僕まだ若いから、わかんないや。
とりあえず家賃ちゃんと払えて良かった…。
んじゃ、またね。
終